イノベーションとは何か(わらしべ長者メソッドってフレーム)

なんすか、イノベーションて。

もはや流行語のようになってきてますが、なんなんでしょうね、一体。

どうも、iPhoneiPadが出てきたところでイノベーションて言葉が一般にも認知されてきた気がします。
この辺りについて書いた本で面白かったのは↓


イノベーションのジレンマ

今もまだ読んでる途中だけど、イノベーションに乗れなかった企業がことごとく継続できなかったのがすげぇ。
30社あって1社も残りませんでした、とかスゴすぐる。

イノベーションとは、wikipediaによると、

イノベーション(innovation)とは、物事の「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。新しい技術の発明だけではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。つまり、それまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことを指す。

とされています。

つまりなんでしょう、これ。

なお、イノベーションのジレンマとは、またもやwikipediaによると、、、

イノベーションのジレンマ(英語:Innovator's Dilemma)とは、優れた特色を持つ商品を売る巨大企業が、その特色を改良する事のみに目を奪われ、顧客の別の需要に目が届かず、その商品より劣るが新たな特色を持つ商品を売り出し始めた新興企業の前に力を失う理由を説明したマーケティングの理論。

だそうで。。。

本を読まないと、こんな数行の説明じゃあまり理解に迫れない気がするなぁ、と本を読んだ身として偉そうに語ってみる(笑)
シンプルに伝えようとした結果、重要なニュアンスが消えた、みたいな。
なんか最近のマスコミがこんな感じだな〜
という訳で、個人的な理解を以下に記す。

イノベーションが破壊的に振舞う時がどんな時かというと、「破壊」という言葉通り、既存のマーケットを食い始めた時だ。
つまり、代替性が出てきた時。

大抵の場合、代替性が出る前はメインのマーケットと比べると取るに足らないマーケットで静かに変化が進行している。
例えば無線。(いろんな本でハードディスクが取り上げられているけど、それはもう一番面白い時期が過ぎた話なのでホットな話題で)

今の時点で言うと、無線はやっぱり遅いし高い。
YouTubeとかガンガンに使おうと思うとストレスフルで、やはり自宅で光かADSLを、って話。
しかし、ビジネスマンを中心に、いつでも外でネットにつなぎたいってニーズはあるもので、一定の無線ネットワークビジネスが成立している。

今後5年ぐらいはこの構図は変わらないが、いつか、需要に見合った速さとコストを達成する可能性はある。
線をわざわざ家の中まで引く大変さと、外で使えないわずらわしさを考えると、主流が優先から無線に変わっていくことは大いにありえるだろう。

ここでポイントなのは(多くの本で語られているハードディスクの話と同様に)、絶対的な性能では劣るものの、需要ラインに乗ったらば、とたんにその他の優位点がものすごくキラキラして見えるようになるってこと。

はあ、長い。。。

つまるところ、「破壊的なイノベーション」が成立する条件は

・食う(食われる)マーケットがあること
・ニーズのある点をクリアしたことによって、別の魅力が急浮上すること

の二点だと思われる。

マーケットは自明でない場合もあるし、ニーズも完全にクリアする必要は無く、トレードオフの関係を考えた時に失うものが十分に少なく(小さく)なるだけでよい。

というわけで、iPadが果たして破壊的なイノベーションなのかどうなのか、ということについて。

電子書籍、という視点で、紙の本 vs これまでの電子書籍 vs iPadの構図を考えると、、、

紙の本
★メリット
・紙の質感、パラパラとめくれる気軽さ
★デメリット
・場所をとる、検索とかできない

これまでの電子書籍
★メリット
・場所をとらない、検索ができる、すぐに手に入る
★デメリット
・読むのが疲れる、めくる感覚が弱い、操作性が悪い、タイトル数が少ない

iPad
★メリット
・場所をとらない、検索ができる、すぐに手に入る(ここまでは変わらない)
★デメリット
・操作性がちょっとだけ悪い、タイトル数に不安が、、、

という訳で、どうにも操作性のデメリットをある程度克服したことがポイントとして高そうだ。
デメリットを一定のレベルで埋めた結果、メリットがものすごくキラキラして見えるってのはどうも今回に当てはまりそうな気がする。

iPadにいたるプロセスを考えてみると、これまた破壊的イノベーションのパターンだったりもする。

iPadの前身がiPhoneなのは自明だが、忘れられがちなのがその前身はiPod Touchであり、更にその前身はiPodである。
iPodの登場は、ポータブルオーディオを変えた。
その辺りはちょっと端折るけど、iPodが登場したときもホイールでのアクションが「大量に音楽を入れ込む」使い方を現実的なものにした。
そしてiPod Touchはつまようじみたいな棒でゴソゴソするストレスからPDAユーザーを解放し、タッチパネルというユーザーインターフェイスが大量の情報やアプリを小さい画面上で処理できる可能性を見せてくれた。
こうして、別の市場で着実に進化を進めてきた集大成の延長線上にiPadはある。
そう考えると、(新しい、もしくは既存の)メイン・マーケットとは別の市場で進んできた進化がメイン・マーケットを食うって構図はまさに破壊的イノベーションだ。

これを僕はわらしべ長者メソッドとひそかに名づけた。

スタートは顕在ニーズでいい。
ちょっとだけ背伸びをして、目に見えるニーズを解決するのだ。
一つ目の解決のプロセスを経ると、次のニーズや新しい解決法への手がかりが見えてくる。
そうして、少しずつ歩を(着実に)進めていくことで、やがては長者に(創造者に)なれるのだ。


駄文。

携帯書籍・マンガって市場も実はでかいのだけど、やはりデメリットがでかくて、かつコア・ユーザーも若いために既存市場は食ってなかったように思う。そして、携帯キャリアは基本的に既存側のインフラ屋だから、破壊的なことはできず、出版社が望む形でしかやれない。もっと言うと、ニーズがあっても敢えて違った形でのアウトプットを目指したりする。所謂ガラパゴス化だ。
携帯の小さい画面でマンガを見せるために、ソフトを開発し見やすくする。
これはこれでいいのだが、「携帯の画面を大型化する」発想は出版社のビジネスを脅かすという理由で選択肢に上らないのが携帯キャリアの構造だ。
すなわち、キャリア発のイノベーションは本質的には生まれない。

だから僕は辞めて、今はわらしべ長者の一歩目に取り組んでいる。

一歩目は、ミドル・マーケットでの市場確立メソッドを確立すること。
文化の幅を広げたり、深堀したりを進めることでまたいろいろ見えるはずなので、その先を進めて行きたい。

さあ、楽しい時代がどんどん進んで行く!!